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5月のトピックは、「リフレッシュ方法」です。
新年度が始まり、疲れも出てくる頃。アンバサダーの皆さんはそれぞれの国でどんな風にリフレッシュしているのでしょうか?
ニーハオ!深圳在住の吉岡です。
深圳での生活はもう3年目になります。最近のリフレッシュ方法は、週末に香港へ行くこと。深圳から電車で香港へ行き、ショッピングや食事を楽しんでいます。香港にどんな魅力があるのか? 深圳在住者の視点でご紹介します。
快速電車15分で別ワールドへ
私が住む深圳という都市は、中国全土の南側に位置しています。そして、香港は深圳の隣にあり、更に南にあります。
深圳と香港の距離はとっても近く、深圳から香港の市内まで、普通電車で1時間程、快速電車では15分程で着いてしまいます。日本の都市に置き換えると、新宿から横浜へ行くくらいの距離感です。
一国二制度 香港へは出入国手続きを
深圳から香港へ入る時には、出入国手続きが必要になります。
中国は一国二制度という政策を取っているため、香港は区分上「境外」と呼ばれます。外国に行く時と同じように、税関を通らなければいけません。
深圳には何か所か口岸(コウアン)と呼ばれるゲートがあり、深圳域内での「出国」手続きと香港へ入るための「入国」手続きをする場所があります。


税関は緊張感が漂う独特な空間です。特に深圳側の税関はとても厳しく、天井には無数の監視カメラが設置されています。特に、深圳へ入る時の審査が厳しいです。
手続きは面倒ですが、それでも前と比べてかなり行き来が楽になりました。私のように長期滞在している外国人は、「E チャンネル」というシステムに登録すれば、身分証明書を機械にスキャンするだけで税関を通れるようになったからです。
中洋折衷の香港に魅了
私はほぼ毎週、香港に通っています。
周りの中国人の同僚や香港の友人からは不思議がられるのですが、今の私にとっては週末の香港ステイが何よりの楽しみです。
その最大の魅力は、深圳とは街の様子や人々の雰囲気が大きく異なり、まるで別世界に行った感覚を味わえるからです。
街並み一つとっても、中華風の古い建物の横にイギリス植民地時代の歴史的建造物があるなど、中華と西洋の文化が入り混じり魅力的です。インド人やフィリピン人の居住地域もあり、路地を歩くだけで文化の多様性も感じられます。



香港の多様性は食文化にも表れていて、広東料理、西洋料理、東南アジア料理、インド料理など、沢山の種類のお店があります。
また、西洋料理は香港の人のライフスタイルにまで根付いており、香港の朝食にはマカロニスープやトーストが出されるのが一般的です。中国の古くからのお茶文化「ヤムチャ」もある一方で、西洋スタイルの「アフターヌーンティー」もあり、まさに中華と洋風の食のスタイルが共存しています。
香港は中国の一部でありながらも、独自の行政、法律、通貨、歴史があるため、同じ中国、と括るには少々不自然に感じる程、大陸(中国の香港以外の地域、深圳や上海など)とは大きく雰囲気が異なります。
私の香港の第一印象は、「生みの親は中国だけど、育ての親であるイギリスの文化もしっかり根付いていて、文化的多様性のある場所」。そんな多面性を持つ香港に私はすっかり魅了されてしまいました。

「日本」を求めて香港へ
私が香港へ行くもう一つの理由は、日本の日用品の調達です。
香港は自由貿易区のため、外国の商品を無関税で輸入できます。そのため、日本の食品、化粧品が豊富にあり、深圳と比べて選択肢が圧倒的に多いです。
特に深圳では、福島第一原発の処理水問題以降、日本製品の輸入が更に厳しくなってしまい、日本の調味料やレトルト食品がなかなか手に入らない現状です。
一方で香港では、マツキヨ、ドン・キホーテ、SOGOなどなど、日本のドラッグストアやディスカウントストアも多く進出しているため、欲しい物は全て見つかるほどの品揃えです。

SOGOの本屋で、貴重な日本語の本の立ち読みができるのも楽しみです。また、ショッピングモールや駅中のお店も、深圳に比べると、店舗面積や商品ラインアップが日本に似ているので、一時帰国したかのような「ほっとした感覚」が得られます。

中国ストレスを解消する駆け込み寺
私にとって、香港は「中国でのストレスをガス抜きする場所」でもあります。
中国で生活していると、独特な政治環境により、知らず知らずのうちにストレスが溜まっているなと感じることも。
街中で良く見かける愛国主義精神を謳ったポスターや厳しい言論統制は、(政権に反する言動をとらない限り)日々を過ごす上では支障はないのですが、心理的なプレッシャーを感じることもあります。
それに比べて香港は、愛国主義ポスターが少なく、多くの方が親日的なので、一息つける感覚があります。
とはいえ、昔に比べると、香港でも徐々に言論統制が厳しくなっていると言われています。実際香港に住んでいる方からすると、自由に発言できない「窮屈感」があるようです。ただ、大陸で生活する私にとっては充分にガス抜きできる自由さが、まだ香港にあるように感じます。
深圳で生活しているのに、香港を楽しんでいるのはいささか理に反しているように見えるかもしれません。ただ、今の私にとって、香港での週末滞在が何よりの楽しみであり、香港に行けるからこそ、深圳での仕事が頑張り続けられる原動力になっています。これからも香港へ行き続けたいと思います!
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