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Goedemiddag! オランダよりRikoです。
今回はオランダの医療制度について紹介させていただきます。
医療保険=絶対加入の義務
まずは、オランダの医療保険について説明します。
オランダで居住または就労している人は医療保険の加入が義務付けられていて、私は毎月EUR155(=24,800円/1EUR=160円)の保険料を払っています。
これとは別に、「自己負担額」の医療費が生じます。月々の保険料を払っているにも関わらず、年間の病院での診察費のうち、EUR385(61,600円)まで自己負担で支払わなければいけません。ただし、EUR385を超えれば、いくら超えても支払いがゼロという制度になっています。
この「EUR385」はもっと高く設定することも可能で、その場合は毎月の保険料が若干安くなるという仕組みです。
つまり、なんと年間約30万のほどの保険料を払いながら、さらに自己負担で6万ほど払って初めて、医療保険の恩恵を受けられるということ。日本の制度との大きな違いに、今でも少し信じられないくらいです。
ただ、救急搬送や大きな手術が必要ないざという時でも、EUR385以上は自己負担ゼロということ。医療費3割負担という日本の制度とはまた違った考え方ですね。
どちらがいいとは一概には言えませんが、病院にかからない自信がある方でも保険に入らないといけないという義務があるので、オランダ移住する際には注意です。
「GP」という「かかりつけ医」制度

さて、引っ越しをしたらまず電気や水道などを契約するのと同じく、GP=「かかりつけ医」を見つけることも重要です。
このGPは病院(いわゆる私たちが日本で行く「内科」「眼科」などの専門医)と患者をつなぐ存在です。オランダではこのGPのリファーラル(推薦状)がないと、専門医に行くことはできません。
私の友人は、このGPを登録していなかったせいで、いざという時に病院で診てもらうまでに数倍の時間がかかってしまいました。
GPを登録する時は、加入済みの医療保険情報とオランダのマイナンバーを登録します。それによって、GPで診察を受ける時には支払いが発生せず、後日、医療保険先を通じて口座から引き落とされるという仕組みになっています。
「GP」に行くだけでも1週間
この独特なGPという制度をもう少し詳しく説明してみます。
熱が出た、咳が出るなどの普通の風邪の症状から、目に異常がある、湿疹ができたなど身体に異常がある場合、ひとまずGPの予約を取ります。
軽い症状であれば処方箋を出し、専門の治療が必要であれば、専門医へ紹介状を書いてくれます。
ただ、このGPの予約がとても難しいのです。
常に予約がいっぱいで、緊急の患者から診察するため、1週間後、2週間後の予約になることも。「その頃にはこの症状はきっとなくなっているだろうな…」と思いながら予約を取ったこともあります。
幸い、GPでの診察で解決したとしても、近くの薬局に処方箋が届くまで少なくとも1日はかかります。
さらには、GPでは判断できず、もっと大きな病院(専門医)で検査が必要になった場合には1ヶ月以上待たされることも稀ではありません。
行きたい専門医の診察をすぐに受けられないのは正直言って苦痛で、この制度はあまり納得がいかないのも事実です。
歯科医は別の医療保険に

海外保険に一度でも加入された方なら一度は聞いたことあるかもしれませんが、海外での歯科医療は普通の医療とは別物です。
オランダでも上記に述べた絶対加入の医療保険に加えて、歯科医にかかりたい場合は追加で歯科医療保険に加入する必要があります。
これは毎月 EUR10(1,600円)ほどです。
歯科医療は普通の医療制度とは逆の考え方です。毎年一定額までの歯科治療費をカバーしてくれますが、それを超えた分は自己負担となります。
保険の種類によって保険適用される治療が異なり、例えば虫歯治療は保険内だけれど、抜歯は保険外といったように、治療する前に自分の保険が適応できるか判断が必要になるケースが多いです。こういったところも日本とはやり方が違い、つくづく日本の医療がうらやましくなる時があります。
頼りの綱は自然治癒?
日本人にとってはなじみのない医療制度を取り入れているオランダでは、「自然治癒」という力にすごく頼っているなと感じる時が多々あります。
熱が出た時も、咳が止まらない時も、GPに行ったところで「ベッドで安静に寝てください」というアドバイスを受けるだけ。
オランダの市販薬の効き目は、日本の薬局で売られている風邪薬と比べると、目を疑ってしまうような効果の違い。会社では風邪をひいただけで、1週間くらい病欠を取ることも日常茶飯事です。
病欠が有給と違い、無期限で取れる(もちろんその間給料も出る)という就労制度があるところも、「病気になったらゆっくり身体を休める」という考えにつながる部分なのでしょう。ちょっとの風邪を引いたくらいで会社なんて休んではいられない、といった日本人的な考え方とは違うところも、ワークライフバランスの違いなのでしょうか。
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