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10月のトピックは、「好きな場所」です。様々な国で、旅行者ではなく生活者として暮らしているからこそ見つかったお気に入りの場所について、書いてもらいました。
Goedemiddag! オランダよりRikoです。
「好きな場所はどこですか?」と聞かれたら、今の私は迷わず「マーケット」と答えます。
ただ、東京に住んでいた頃の私が同じ質問をされたら、少し違う答えをしていたかもしれません。
東京にいた頃は、仕事や予定に追われる毎日でした。仕事帰りに買い物をするときも、駅の近くのコンビニやデパートに立ち寄り、必要なものをできるだけ短い時間で買って帰る。休日も、わざわざ遠くまで買い物に行くより、近場で便利のよい場所を選ぶことが多かったように思います。
今振り返ると、私は「何を買うか」よりも、「どれだけ効率よく買えるか」を大切にしていたのかもしれません。
そんな私が、オランダのアムステルダムに住むようになってから、買い物に対する考え方が少しずつ変わりました。
アムステルダムでは、街のあちこちでストリートマーケットが開かれています。特に土曜日は、街のどこかしらでマーケットが開かれているような印象があります。
朝9時ごろから少しずつお店が開き始め、夕方4時ごろになると、だんだん店数が少なくなっていきます。その数時間だけ、街にたくさんのお店が集まり、いつもとは少し違う空間が生まれます。
私はこの雰囲気がとても好きです。
マーケットには、地元の人たちが普段の買い物をするために訪れます。野菜や果物を買う人、チーズを選ぶ人、魚や肉を買う人がいます。一方で、観光客も多く、写真を撮ったり、屋台で食べ物を買ったりしながらマーケットを楽しんでいます。

売られているものもさまざまです。
新鮮な野菜や果物はもちろん、オランダのゴーダチーズを扱うお店もあります。ベーカリーや魚屋、肉屋など、食材を扱うお店もたくさんあります。さらに、文房具や雑貨、洋服、バッグ、アクセサリーなどを売っているお店もあります。
そして、マーケットで私が特に楽しみにしているのが、屋台です。
その場で食べられるものがたくさんあるので、買い物をしながら気になったものを見つけると、つい立ち寄ってしまいます。オランダのストロープワッフルを、出来立ての温かい状態で食べられるお店もあります。
マーケットを歩いていると、食べ物の香りがしてきたり、店員さんの声が聞こえてきたりします。色とりどりの野菜や果物が並び、人もたくさん行き交っています。
スーパーマーケットでは、必要なものを探して、買って、帰ることが多いですが、マーケットでは「歩くこと」そのものが楽しいのです。
特に何かを買う予定がなくても、どんなお店が出ているのかを見るだけでワクワクします。
そして、最近の私は、マーケットで「作っている人から直接買うこと」の楽しさにも気づきました。
バッグやアクセサリーなどの手作り品はもちろんですが、野菜や果物、ベーカリーの商品、チーズなども、作っている人や販売している人から直接買うと、よりおいしく感じるようになりました。
例えばチーズを買うときも、ただ棚から商品を選ぶのではありません。
「どんな味が好きですか?」
「このチーズなら、こうやって食べるのがおすすめです」
そんなふうに話をしながら、自分の好みに合ったものを選んでもらうことがあります。
おすすめの食べ方を教えてもらい、それを家に帰って試してみる。その時間まで含めて、買い物なのだと感じるようになりました。
野菜や果物でも、旬のものやおすすめの食べ方を教えてもらうことがあります。ベーカリーでも、どの商品がおすすめなのかを聞いてから選ぶことがあります。
そうすると、商品そのものだけではなく、「誰が作ったのか」「どんなふうに食べるのか」という背景まで含めて楽しむようになります。

以前の私は、値段や量、便利さをかなり重視していたと思います。
もちろん、安くて便利なことは今でも大切です。ただ、最近は「たくさん買うこと」よりも、「本当に気に入ったものを買うこと」を大切にするようになりました。
量や値段よりも、質を選ぶ。
これは、アムステルダムに来てから変わったことのひとつです。
東京にいた頃は、こうしたことを考える余裕がありませんでした。
日本にも、季節限定で開かれる地元のマーケットやイベントはたくさんあります。地元で採れた野菜や果物、手作りのアクセサリーや雑貨、作家さんの作品など、きっと面白いものがたくさんあったと思います。
でも、当時の私は、そうした場所に足を運ぶ時間がありませんでした。
今、日本に一時帰国すると、以前とは少し違ったものに目が向くようになりました。地元でマーケットやイベントが開かれていると、「行ってみたい」と思うようになりました。
最近は、特に一点ものの手芸品や作品を手に入れることにはまっています。
同じものが大量に並んでいるのではなく、その作品を作った人にしか作れないもの。一つひとつ少しずつ違っていて、そこに作り手の個性が感じられるもの。
以前はあまり目を向ける時間もありませんでしたが、今はそうした「手作り」の品に特別感を感じます。
考えてみると、アムステルダムのマーケットに惹かれる理由も、そこにあるのかもしれません。
マーケットでは、毎回同じお店が並んでいるわけではありません。季節によって商品が変わったり、出店するお店が変わったりします。
だから、行くたびに「今日は何があるかな」と思います。
私は毎週土曜日に行けるわけではありません。仕事や予定もあるため、月に1回か2回くらい、どこかのマーケットに行く予定を立てています。
「今度の週末はどこのマーケットに行こうかな」と考えるところから、もう楽しみが始まっています。
マーケットを見た後は、近くのコーヒー屋さんに行くこともあります。
マーケットで買い物をして、屋台で何かを食べて、おいしいコーヒーを飲む。そして、その日の戦利品を持って家に帰る。
それだけのことですが、私にとっては、とても贅沢な休日の過ごし方です。
「何を買うか」決めずに立ち寄るアジアンスーパー
そして、アムステルダムで好きな場所をもうひとつ挙げるなら、アジアン(アジア系)スーパーです。
マーケットとは少し違いますが、ここも「何を買うかを決めずに行っても楽しい場所」です。
海外で生活していると、日本の食材や調味料をいつでも手に入れられるわけではありません。しょうゆ、みそ、だし、お米、お菓子など、日本にいた頃には当たり前だったものを見つけると、少し懐かしい気持ちになります。
日本の商品だけではなく、中国や韓国、タイ、ベトナムなど、さまざまなアジアの食材が並んでいるので、店内を歩くだけでも楽しいです。
アジアンスーパーには、「今日はこれを買おう」と目的を決めて行くこともありますが、特に何も買うものがなくても、行くだけでワクワクします。
休日の昼間にふらっと立ち寄ることもあります。
また、仕事が終わって疲れている日は、併設されたフードコートで食事をすることもあります。毎日自炊をするのではなく、たまには自炊を休んで、そこでゆっくり食事をする。
仕事帰りにそのまま立ち寄って、おいしいものを食べて、少しゆっくりしてから帰る。それだけでも、良い気分転換になります。
「効率的だけではない時間」の魅力
マーケットとアジアンスーパー。
一見すると、まったく違う場所です。
でも、私にとってはどちらも「効率だけではない時間」を過ごせる場所です。
必要なものをできるだけ早く買うのではなく、店員さんと話したり、商品を眺めたり、知らないものを見つけたりする。何かを買うことだけが目的ではなく、その場所に行って過ごす時間そのものを楽しむことができます。
東京にいた頃の私は、時間に追われていました。
便利なもの、すぐに手に入るもの、都合のよいものを選ぶ生活は、とても合理的でした。でも、今振り返ってみると、生活の中に「立ち止まる時間」があまりなかったのだと思います。
アムステルダムで暮らすようになって、私は少しずつ、時間をかけてものを選ぶことの楽しさを知りました。
それは、食べ物でも、バッグでも、アクセサリーでも同じです。
誰かが作ったものを手に取り、その人から直接話を聞いて、自分が本当に気に入ったものを選ぶ。
その過程を楽しむことで、買ったもの自体にも少し特別な思い入れが生まれます。
だから、私にとってマーケットは、単なる「買い物をする場所」ではありません。
今暮らしているアムステルダムの生活を感じられる場所であり、自分の時間をゆっくり楽しめる場所です。そして、以前の自分の生活を振り返り、今の自分が大切にしたいものに気づかせてくれる場所でもあります。
もしアムステルダムを訪れることがあれば、ぜひ有名な観光スポットだけではなく、街のマーケットにも足を運んでみてください。
何を買うかを決めずに、ふらっと歩いてみるのがおすすめです。
新鮮な野菜や果物、チーズ、パン、手作りのバッグやアクセサリー。そして、出来立てのストロープワッフル。
その日にしか出会えないものが、きっと何か見つかると思います。
そして最後に、おいしいコーヒーを一杯。
「今日は何があるかな」とワクワクしながら出かけ、気に入ったものをゆっくり選ぶ。
そんな時間を持てることが、今の私にとっての「好きな場所」の大きな理由です。

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著者紹介
Rikoさん
プロフィール
東京の金融機関で約3年間、為替ディーラーとして勤務。
その後オランダ・アムステルダムへ移住し、現在は金融機関で為替デリバティブのセールストレーダーとして働く。20歳での豪州ワーホリ、欧州バックパッカー、カンボジアでの教育支援活動など、学生時代から海外に挑戦。海外経験を重ねる中で、国境を越えてキャリアを築く可能性を実感している。




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