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7月のトピックは、海外在住者にとっての特別なイベント「一時帰国」です。
海外でキャリアを重ねているアンバサダーの皆さんにとっての、「久しぶりの日本」と「心の変化」を探りました。
Goedemiddag!オランダよりRikoです。
みなさんの「ホーム」はどこですか?
オランダに移住して最初の2年ほどは、私にとっての「ホーム」は日本でした。しかし約4年経った今、少しずつ感覚が変わってきています。
もちろん、日本へ一時帰国すると「帰ってきた」という安心感があります。それでも、どちらの家がほっと落ち着くかと聞かれたら、今はオランダの家と答えるかもしれません。
海外で暮らしていると、「一時帰国」という言葉には特別な響きがあります。旅行とは違い、生活の延長線上にある、少しだけ日常を離れる時間です。
7月から8月にかけては、多くの人が夏休みを利用して日本へ帰国します。特にヨーロッパでは、2〜3週間ほどまとめて休暇を取ることが一般的です。私も今年は、スペインを旅行したあと、韓国経由で日本へ帰国する予定です。
実は、今年の夏は一時帰国する予定はありませんでした。暑さもありますし、航空券も決して安くないからです。それでも帰ることを決めた理由があります。
ある日突然、「今すぐ実家の愛犬に会いたい」という気持ちが込み上げてきたのです。
ビデオ通話で元気な姿を見ることはできます。しかし、直接撫でたり、一緒に散歩したりすることはできません。愛犬に会うために、帰ろうと決めました。
航空券を予約すると、「もうすぐ日本へ帰れる」という実感が少しずつ湧いてきます。
私にとって一時帰国は、日本を楽しむ時間であると同時に、海外で暮らす自分を見つめ直す時間でもあります。

「会いたい人」に会える時間
帰国が決まると、まず頭に浮かぶのは「誰に会おう」ということです。
一時帰国は長くても2〜3週間ほど。その限られた時間で、家族とは少しでも長く過ごしたいですし、学生時代からの友人にも会いたくなります。海外でできた友人も大切ですが、昔からの友人とは共有してきた時間の長さが違います。言葉にしなくても分かり合える安心感があります。
普段はLINEでやり取りをしていますが、同じ食卓を囲み、何気ない会話を交わす時間には、画面越しでは味わえない温もりがあります。
愛犬と近所を散歩したり、実家でゆっくりお茶を飲んだりするだけでも、心が満たされます。
海外では当たり前ではない時間が、日本では何気ない日常として流れています。その「当たり前」こそ、一時帰国で最も大切にしたい時間なのだと感じています。
日本でしか味わえない楽しみ
一時帰国の楽しみは、人に会うことだけではありません。
帰国前になると、日本からの お土産を考える時間も楽しみの一つです。日系企業で働いているので、日本とオランダを行き来する駐在員がお土産を持ってくる機会が多くあります。
ヨーロッパの同僚に特に人気なのは、「白い恋人」とヨックモックのシガールです。どちらもラングドシャがベースのお菓子なので、ヨーロッパの人にも親しみやすい味なのかもしれません。
一方、日本人の私は、お煎餅や和菓子のような昔ながらのお菓子に懐かしさを覚えます。同じ「日本のお菓子」でも、海外の人と日本人では魅力を感じるポイントが違うことが興味深く感じられます。
そして、日本へ帰れば、本場の日本食も待っています。
ヨーロッパでも日本食は人気ですが、多くは現地向けにアレンジされています。オランダで食べる和牛ラーメンや創作寿司もおいしいものの、ふと恋しくなるのは、日本に昔からあるシンプルな醤油ラーメンや町中華の味です。
オランダへ戻る日は、スーツケースが日本の商品でいっぱいになります。レトルト食品や調味料、医薬品、文房具など、「これも持って帰りたい」と思うものは数え切れません。
荷物の重量を気にしながら、「これは入るかな」「こちらは諦めようかな」と悩む時間も、一時帰国ならではの恒例行事です。

ふたつの「ホーム」
海外生活が長くなると、不思議な感覚を覚えることがあります。
日本へ帰っても、以前とまったく同じ気持ちでは過ごせなくなるのです。
街並みは変わり、新しいお店が増えます。流行も少しずつ変化しています。友人との会話では、知らない話題が出ることもあります。自分が知っている日本と、今の日本には少しずつ違いが生まれています。
その一方で、オランダへ戻る飛行機に乗る頃には、「ようやく帰る」という感覚も芽生えます。
以前は、「帰る場所」は日本だけでした。しかし今では、オランダへ戻ることも「帰る」と自然に言えるようになりました。
最初は、その変化を少し寂しく感じていました。日本が自分の居場所ではなくなってしまったような気がしたからです。
けれども今は、そうではないと思っています。
日本が故郷であることは変わりません。そして、オランダには今の生活があります。
どちらか一方だけがホームなのではなく、人生の中でホームがふたつになっただけなのです。
一時帰国を繰り返すたび、日本の魅力を改めて知り、海外で暮らす意味についても考えるようになりました。
「帰る場所」がふたつあることは、とても幸せなことなのかもしれません。
一時帰国は、買い物を楽しみ、おいしいものを食べるだけのイベントではありません。
家族や友人との時間を大切にし、自分の歩んできた道を振り返り、これからの暮らしを考える時間でもあります。
海外に住んでいるからこそ、日本が特別に感じられます。そして、日本を離れているからこそ、今暮らしている場所もまた、大切なホームになっていることに気づくことができました。
次に一時帰国するときも、きっと「あれを食べよう」「あの人に会おう」と心を弾ませながら荷造りをするでしょう。そして少し名残惜しい気持ちを抱えながら、日本をあとにします。
その先には、もうひとつのホームがあります。
そう思えるようになったことも、海外で暮らして得た大切な財産なのだと思います。

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